水戸川櫻華さん(仏像彫刻)

    

大切な人に似てくる~仏様と出会う感動を伝えたい

 彫刻刀に気持ちを伝えて、仏様を彫り進めていく間は、無心になれると人気の「心静かに彫る 仏像彫刻入門」。リビングカルチャー倶楽部講師の水戸川櫻華さんに魅力を聞きました。

「彫刻はもちろん、料理など、何かを〝作る〟ことが好きですね」と話す水戸川さん。
力強い不動明王から愛らしい表情の地蔵までを制作しています

「心静かに彫る 仏像彫刻入門」 講師 水戸川櫻華(みとかわおうか)さん
京仏師。大阪市立工芸高校卒業後、仏師・松久朋琳の工房に入門。大佛師松久宗琳佛所同人。仏像彫刻教室「仏刻会」主宰。2003年に公募創彩展「仏教美術」の部を立ち上げる。第43回創彩展文部科学大臣賞受賞。著書に「はじめての仏像彫刻 おだまき地蔵から誕生仏まで」(共著)、「やさしい仏像彫刻 かぐや姫から地蔵仏頭まで」(共著)

彫刻刀に気持ちを込めて 彫ることの楽しさを体験

愛らしく、穏やかな表情の「おだ
まき地蔵」。手のひらにおさまる
大きさで、初心者でも作りやすい
仏像彫刻です

 「仏像彫刻の世界との出合いは偶然でした」と語るのは、「心静かに彫る 仏像彫刻入門」講師・水戸川櫻華さん。10代の頃、友人に誘われて京都の大仏師の工房見学に行き、「日頃、自分の中にあるものを何か形として表現したいと考えていたので、これだ!と思い、弟子入りしたんです。それから約50年、仏師として仏像を制作しています」。
 子育て中は、娘の無垢な姿を見て仏様を彫っていたという水戸川さんは、「不思議なことに仏様の顔立ちは、彫っている人自身や、子どもの顔に似てくるんですね。強くひかれているものが、作品に表れてくるのかもしれません」と話します。「ライフワークとして制作をしている〝迦陵頻伽(かりょうびんが)〟という、極楽にすむという想像上の鳥は、歩き始めた孫の姿にインスピレーションを受けました」
   本来はデッサンも必要な仏像彫刻ですが、教室では、「生徒それぞれが彫りたい仏様を決めて、初めから木材に彫っていきます。彫刻刀を握るのは小学生のとき以来という人でも大丈夫。まずは彫ることを好きになり、楽しさを体験してほしいのです。心を込めて彫っていくと彫刻刀に気持ちが伝わり、自分だけの仏様が現れます。その喜びを感じてください」。