辻ひろ子さん(朗読)

    

読み方に生き方が表れる朗読の深さを知ってほしい

 さまざまな人生経験が作品の解釈に生き、ひいては語りにも表れるという朗読。リビングカルチャー倶楽部で21年にわたり、朗読の講師を務める辻ひろ子さんが、奥深い世界を教えてくれました。

「初心者のための昔話・絵本・童話朗読」 講師 辻ひろ子(つじひろこ)さん
大阪府立北野高校卒、関西学院大学卒、KBS近畿放送(現京都放送)入社。その後フリーとなり、MBS、YTV、東海TV、CBCなどで番組を担当。TVCMも多数担当。日本民間放送連盟優秀賞受賞。1997年からリビングカルチャー倶楽部で朗読講師に。HIROKO朗読サロン主宰。関西朗読家クラブ会員

大きな声を出せば心晴れやか 中高年世代にこそおすすめ

HIROKO朗読サロン主催の読み語りの
イベントでは、作品に出てき
た楽器の演奏を取り入れたり、
さまざまな演出で朗読の魅力を発信

 枚方教室で「初心者のための昔話・絵本・童話朗読」などの講師を務める辻ひろ子さんは、元アナウンサー。TV番組への出演などで活躍していた際、語りのプロとして、「朗読」の指導を依頼され、21年間、その技術や魅力を伝えています。
 ただし、ニュースなどを正確に伝える必要のあるアナウンスとは違って、「朗読にとって必要なのは想像力。文章をただ読むのではなく、情景や登場人物の心情を想像し、自分で解釈して語るのが朗読です」と心地良い語り口で話します。趣味の旅行では、文学作品にゆかりのある土地を巡ることも多く、作者や作品の背景に対する理解が深まるのだそう。
 また、「人生経験が作品の解釈や表現力に生きてきます。年を重ねるほど、語りに味が出るので、朗読は中高年の人におすすめです」。  講座では、発声法や腹式呼吸、滑舌やアクセントなどの指導はもちろん、作品の理解を深めるために、内容を生徒同士で話し合い、コミュニケーション力のアップにも。発表会では、人前で朗読する楽しさも味わえます。
 「しっかりと大きな声を出すと、自分の思いが伝わります。気持ちも晴れやかになりますよ」


朗読が上手になるためのヒント

■歌を歌うように読んでみる…「寝ている文字を起こす作業」が朗読です。声に緩急やメリハリをつけて読んでみましょう。「歌を歌うように読む」と言えば想像しやすいですね。

■大きな声を出す…家の中で大きい声を出すための発声練習は、掃除機をかけながらや、押し入れに向かってなどのほか、車の中もいいですね。

■「想像力」を養う…朗読に必要不可欠な「想像力」とは、作品の世界や登場人物の心情を想像し、解釈する力ということです。想像力を養うには、美術館や博物館で芸術鑑賞をして感動したり、いろいろな土地を旅するなどもおすすめです。積み重ねてきた人生経験が朗読に出ます。