vol.18 中村彩園さん(日本刺繍~京繍~)

    

繊細で優雅な表現が魅力 京繍の技術を伝えたい

 平安時代から続く、能や狂言の衣装にも施される日本刺繍の一つ、京繍(きょうぬい)。リビングカルチャー倶楽部講師・中村彩園さんが、細やかで絶妙な色使いの、京繍の魅力について教えてくれました。

「高貴な伝統工芸 日本刺繍~京繍~」 講師 中村彩園(なかむらさいえん)さん
京都市在住。京繍伝統工芸士。第26回京都府工芸産業技術コンクール特別奨励賞受賞。京都・西陣にある大正10年創業の京繍の工房「中村刺繍」に所属。リビングカルチャー倶楽部講師としてだけではなく、工房が開講している「中村刺繍教室」でも幅広く京繍の伝統技術を伝えている。

4000色近くの糸から選び 太さや色合いを調整

京繍のモチーフは古典的な柄を
はじめ、絵画の一場面から着想を
得たものなどさまざま     

 「京繍を体験できる場を作って、技術を多くの人に伝えたい」と話すのは、この道37年になる京繍の伝統工芸士・中村彩園さん。
 京都で三代続く京繍の工房を営む家に生まれた中村さんは、職人である父や祖父の姿を見て育ち、自然と京繍の世界に。職人として活動するうちに、「近年、着物を着る人が少なくなった影響で、京繍の職人も激減し、業界が衰退していく危機感を持つようになりました。そこで、工房で教室を開いて、初心者向けに教えるようになったんです」と話します。
 職人だけではなく、その技術を支える道具や糸を作る会社もなくなりつつあり、中村さんが所属する工房では糸も作るようになったのだそう。「糸の色数は3000~4000。そこから気に入った色の糸を選び、より合せて太さや色合いを調節します。繊細で優雅な表現ができるのも京繍の魅力の一つですね」
 ぬい方は100種類以上ありますが、教室ではまず、基本の6種類を指導。その後は小物や着物、帯など、自分が刺したいものに京繍を施していきます。「難しく感じる京繍ですが、教室は気軽に質問できる雰囲気です。自分好みのモチーフで作品を作りませんか」と中村さんは呼びかけます。